レトロゲーム機の歴史とその魅力とは?アタリショックとは?
昨今ではニンテンドークラシックミニをきっかけに、懐かしいレトロゲーム機の復刻が次々と行われていますね。
その他にもアーケードアーカイブスやリメイクなど、レトロゲームが脚光を浴びる機会が多くなっています。
そこで今回はレトロゲーム機の歴史とその魅力についてご紹介します。
家庭用ゲーム機の始まりは海外で発売した《オデッセイ》
家庭用ゲーム機は元々アメリカの会社であるマグナボックスが1972年に開発した《オデッセイ》というゲーム機が始まりと言われています。
このオデッセイは28種類のゲームを内蔵しています。同じアメリカの会社である「アタリ」が、オデッセイに目をつけて新しいビデオゲーム機《ホーム・ポン》を製作。
オデッセイが高額ということもあり振るわなかった中で、この《ホーム・ポン》がヒットしました。これにより家庭用ゲーム機の存在が一般に広く知られる事となりました。
日本国内での始まりは《テレビテニス》
日本国内ではエポック社が開発した《テレビテニス》が家庭用ゲーム機の始まりと言われています。
これは《ホーム・ポン》のように1種類のみのゲームが内蔵されているゲーム機です。ゲーム機ではありますが、スコアをカウントする機能がゲーム機に内蔵されていないため、手動でスコアを操作していく必要がありました。
最初のゲーム機なのでまだアナログな感じがありますね。これを機に任天堂の「カラーテレビゲーム15」やバンダイの「テレビジャック」など、様々なメーカーからゲーム内臓型の家庭用ゲーム機が発売されていきます。
カートリッジタイプのゲーム機とアタリショック
内蔵型に次ぐ次世代機としてカートリッジタイプのゲーム機が各メーカーから発売されました。日本ではエポック社の《カセットビジョン》(1981年発売)がこれにあたります。
カートリッジ型のソフトを開発するサードパーティ(ゲーム機の開発元以外の他社のこと)の参入もこの頃から始まりました。
サードパーティの参入により、これまでよりも一層家庭用ゲーム機の普及が進むこととなりましたが、この急速な普及がある一つの出来事を起こすこととなります。それがあの「アタリショック」なのです。
家庭用ゲーム機の普及に目をつけた様々な会社がこぞってゲームソフトの開発に乗り出しましたが、ハードメーカーの許可なく開発する会社も存在し、そういった会社が開発したゲームソフトはお世辞にもできが良いと言えるものではありませんでした。
今までこうした粗雑なゲーム機を買わされることがなかった人々は、次にゲームソフトが発売されるという情報を聞いても警戒してしまい、購買意欲が下がっていくこととなりました。
確かに評判の良くないソフトが出回っている中で、インターネットなどで情報を得ることも出来ない時代だと警戒して仕方のないことだと思いますね…。
この流れによってゲーム市場が衰退していき、これを日本では「アタリショック」と呼んでいます。
大ヒットゲーム機「ファミコン」の誕生
アタリショックを機にハードメーカーの認可を得る流れが強くなってきました。これによりゲームソフトの品質が向上することとなりました。
そして1983年頃には任天堂の大ヒットゲーム機《ファミリーコンピュータ》(またの名を「ファミコン」)が登場します。恐らく初めて触ったゲーム機がファミコンだと言う方も多いのではないでしょうか。今でも続く代表的なシリーズ《スーパーマリオ》もファミコンで登場しました。
人気の要因は、先述したアタリショックを受けての徹底的なソフトの品質管理と、ゲーム機に特化したファミコンの性能に他ならないと思います。
ほぼ同時期にセガからは「SG-1000」や上位機種の「SC-3000」などが発売されましたが、ファミコンの圧倒的な人気を前に苦戦を強いられました。
それでもセガはSG-1000の互換性を持った新たなゲーム機《セガマークⅢ》や上位機種の《マスターシステム》を開発し、任天堂に食らいついていきました。
ゲーム機戦争の過熱とソニーの登場
エポック社がスーパーカセットビジョンを機に撤退し、任天堂の圧倒的なシェアの前に何とか対抗するセガという構図が出来上がっていましたが、そこに参戦したのがNECでした。
NECは《PCエンジン》を開発し、ファミコンを上回るスペックと有力なサードパーティをバックにして、ファミコンに対抗しました。翌年のセガも《メガドライブ》を開発し、北米市場での成功を収めました。
これに対して任天堂はファミコンに続くハード《スーパーファミコン》を開発しました。ファミコンを遥かに上回る性能で、こちらも圧倒機な人気を得ました。
その後はSNKよりアーケードゲームを完全移植することが可能な《ネオジオ》を開発しました。各社が様々なハードで対抗するゲーム機戦争が盛んになっていきました。
NECはカートリッジ型のソフトから《CD-ROM2》という新たな機器で大容量CD-ROMへの移行を進め、セガも《メガCD》などの周辺機器でCD-ROMへの移行を進めました。
密かに任天堂はCD-ROMタイプの普及の流れを逃さずにソニーと共同でCD-ROM型の次世代機を開発していましたが、この共同開発も中止になったことでソニーから《PlayStation》が開発されました。
これに対し任天堂はカートリッジタイプのゲーム機である《バーチャルボーイ》や《NINTENDO64》で対抗しました。特に64は任天堂開発のゲームソフトは人気を得るものの、CD-ROMに移行したいサードパーティの支持を失う事となりました。
セガのゲーム機開発の撤退と新型ゲーム機時代の到来
セガもPlayStationに対抗して《セガサターン》を開発しました。
《バーチャファイター》といった人気ソフトはあったものの、それを上回る勢いだったのがPlayStationの《FINAL FANTASYⅦ》でした。
ソニーはFF7による広告戦略とゲームの低価格化を進めることで、コアなゲーマーだけでなく、ライトユーザーを取り込むことにも成功し、セガなどの他社に対して優位に立ちました。
セガはこれに対して新たなゲーム機《ドリームキャスト》を開発しましたが、発売初期にゲームソフトの開発がこれに追いつかなかったことや、超大ヒットと呼べるソフトがなかったことで、PlayStationと新たな次世代機《PlayStation2》には敵いませんでした。セガはドリームキャストを最後にゲーム機本体の開発事業からは撤退することになったのです。
ここまでレトロゲーム機の歴史についてご紹介してきましたが、レトロゲーム機とはいったいどこまでを指すのかは恐らくそれぞれの感覚ではないかと思います。筆者の感覚では、ここまで紹介してきたハードのうち、ドリームキャストまでがレトロゲーム機ではないかと思っています。
レトロゲームと最新ゲーム機の違い
現在の最新ゲーム機といえばソニーの《PlayStation4》や、任天堂の《Nintendo Switch》ですが、これらの最新ゲーム機とレトロゲーム機には一体どういった違いがあるのでしょうか。
もちろんスペックで言えば最新ゲーム機が圧倒しているのは至極当然です。ではレトロゲームの良さとは一体何でしょうか。
レトロゲームの魅力
レトロゲームにあって最新ゲーム機にはない点を挙げていきます。決して最新ゲーム機が良くないというわけではないことと、あくまでも筆者の感覚的な部分も多いですが、ご了承下さいませ。
操作の簡単さ
最新ゲーム機ではコントローラにも様々なボタンが増え、その分多彩な操作を可能にしていますが、少しややこしいと感じる方もいらっしゃるかも知れません。
レトロゲームの場合はボタンの割当てがそこまで多くなく、ファミコンやPCエンジンなどは特にこの傾向がありますね。コントローラーのボタン数も少なく、シンプルな操作でゲームが楽しめるというのは、ライトユーザーにとってはとても有り難いことだと思います。
掻き立てられる想像力
昨今のゲームではオープンワールド形式のゲームも増え、グラフィックの向上によって非常にリアルなゲームが多いです。レトロゲームと比べるとその差は歴然たるものです。
しかしレトロゲームにはリアルでない分、プレイヤーの想像がグラフィックの不足を補うという面もあります。
プレイヤー自身が想像することでよりゲームに引き込まれていくのではないでしょうか。
「バグ」や「裏技」といった仕様の穴を突く存在
昔のゲームにはよくバグや裏技などがありました。バグについては意図的に仕組まれたものではないのですが、その中にはゲームをする上で致命的なものもあれば、グラフィックに多少影響するようなものまで様々です。
また、裏技についても見つけるのがそこまで容易でなく、見つけた人へのご褒美のような要素でもあります。笑えるバグや裏技もこの当時は多く、今でもバグの解析を行う方もいるぐらいです。筆者はよく「FINAL FANTASY Ⅲ」のアイテムを変化させるバグを使っていましたね。
ドット絵の美しさ
90年代半ばまでのゲームと言えばドット絵ですね。当時のレトロゲームは使える容量が限られていたため、1つの大きなグラフィックを使うと非常に容量を使ってしまいます。
そのため容量を節約するためにグラフィックチップを1つずつ入れていく手法がこの当時は主流でした。
限られた容量の中でも精細に動いているドット絵の技術は凄いと思います。特にネオジオの「メタルスラッグ」のドットは凄まじいの一言です。他のドット絵のゲームと比べても、ひときわ動きが細かいのが特徴です。
今でもなお最新ゲームの中にはドット絵を使うものもあることが、ドット絵の良さを物語っていますね。
まとめ
いかがでしょうか。レトロゲームにはレトロゲームならでは良さがあり、今でもその良さは決して色褪せるものではありません。
今のゲームがあるのもレトロゲームがあったからこそ存在するのではないでしょうか。